ある法人がその使用人や役員の海外渡航の時に支払う旅費は、その海外の渡航が法人の業務上必要なものであり、同時にその渡航のために必要とされている通常の部分の額数に限られ、旅費として法人から経理するのが可能となっています。
このことから、法人の業務上必要だとされていない海外渡航の費用はもちろん、業務上必要な渡航であってもその費用金額の中で通常の必要金額と認められる額数を超える部分については、その使用人や役員に対する給与になります。
それに、当該海外渡航の期間のほぼ全ての期間が法人の業務に必要だと認められていることが明確である場合は、その海外渡航の旅費全てが社会の通念上の合理的な基準で算出されているなど不当な多額ではないと思われる限り、全額が旅費として法人の経理が可能です。
同業者団体などから主催される海外視察などの機会に並行する観光などの場合は、2000年10月11日付課法2-15他2課共同「海外渡航費の取り扱いについて」に、具体的な取り扱いが明確にされています。
法人の使用人や役員の海外渡航の旅費が業務上必要であった旅費であるのかの判定は、その旅行先、経路、目的、時間などを全て考慮して実質的に判断するようになりますが、以下の3つの場合は業務上必要であった海外渡航に当てはまりません。
1.観光の渡航の許可を取った旅行
2.旅行あっせんをする人などが主催する団体旅行に応募して行く旅行
3.同業者団体やそれと類似の団体が主催する団体旅行で主な目的が観光であると思われるもの
ただし、1~3の項目に当てはまる場合でも、その海外渡航の旅行の期間内に行われた仕事の内容や旅行先から判断して法人の業務と直接的な関係があるものだと判定されたら、法人から支払われる旅費の中で、法人の業務と直接的な関係のある部分に関する費用額は、旅費として損失額数に算入することになります。
海外渡航の期間内に、法人の業務上必要な旅行と必要ではない旅行を並行して行うこともあります。この場合は、全体の旅行費用を旅行期間中の法人の業務上必要な旅行と必要ではない旅行の占める比率で割り、業務上関係のない部分の金額は使用人や役員に対する給与になります。
しかし、海外渡航の直接動機が取引先との契約の対決や商談など業務上に関係していて、その海外渡航が観光と並行して行われるものであったら、その報復の旅費は業務上の必要経費に認められるので、その海外渡航の旅費の額数から控除した残額が給与の扱いとなります。