所得税法上、日本内の給与所得者が1年以上の転勤の予定で海外出向をすると、日本国内に住所を持っていない人、すなわち非居住者の扱いになります。
このように海外転勤などで非居住者になった人は、海外出向日までにすでに一定所得がある時や、海外出向の後、国内の不動産の貸し付けなどや譲渡による所得などの、日本内で発生した所得がある場合は、日本で確定申告を行う必要があります。
海外で確定申告を行うためには、事前に日本内で納税管理人を決め、「所得税の納税管理人」を納税者の管轄税務署長宛てに出して、その納税管理人を通じることとなります。
納税管理人とは、非居住者の代わりに確定申告書の提出・税金の納付を行ってくれる人のことで、法人・個人どちらでもかまいません。
年の途中で海外転勤などをすることになった年度分は、当該年1月1日から出国日までの期間内に発生した所得の全てと、出国日の次の日からその年の12月31日までの期間内に発生した国内源泉所得を合算して確定申告を行います。
この場合の確定申告書の提出期限は、出国の際までは納税管理人の届出書を出したかどうかによって以下のように分かれます。
(1) 出国日までに税務管理人の届出書を出した場合
当該年の1月1日から出国日までの期間内に発生した所得全て・出国日の次の日からその年の12月31日までの期間内に発生した国内源泉所得(源泉分離課税は除外)に対して、次の年の2月16日~3月15日までの期間内に納税管理人を通じて確定申告を行う必要があります。
(2)上記以外のケース
a.出国の前に発生した所得だけの確定申告:当該年の1月1日から出国日までの期間内に発生した所得に関して、その出国日までに確定申告を行ってください。出国日が1月1日~3月15日である場合は、前年分の所得に関わる確定申告書も提出してください。
b.出国前の所得と出国後の国内源泉所得との合算確定申告:(2)のaの確定申告を行ったとしても、当該年の1月1日から出国日までの期間内での所得と出国日の次の日からその年の12月31日までの間での国内源泉所得に関しては、当該年の次の年の2月16日~3月15日までの期間内に確定申告を行ってください。
この場合の納付額数は、その申告書で計算された納付税額から(2)のaの申告書に書かれた納付額数を控除した残余金額となります。逆に、(2)のaの申告書の金額の方が多額の場合は、その差額が還付されることになります。
海外勤務をし始めた年の次の年以降も、日本内で国内源泉所得が発生する場合は、その所得に関して確定申告を行う必要がありますので、日本内での納税管理人を通じて2月16日~3月15日の期間内に行ってください。